たまごどんは先ほど三島から帰ってきた。遺伝研の一般公開は面白かったのだが、残念ながら時間がない。しかし有難いことに、遺伝研を一緒に回ったtemaさんが、そのときのルポを書いてくれている。タイトルは「遺伝研オフ(昼の部)」であり、temaさんの着眼の鋭さ、分かりやすく書くという文才がよく分かる、大変優れたルポになっている。たまごどんもこういう風に書かなくてはいかんよなあ。なお、ここへの転載許可はtemaさん本人から頂いていることを付記しておく。

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毎年の楽しみ遺伝研オフである。
三島駅に到着すると、改札の向こう側には懐かしい顔ぶれ。そして嗚呼、あれがたまごどんの救世主様だ。
早速、改札をくぐろうとしたtemaをwadjaさんが止める。
「外に出てはいけません」
「そこで弁当を買ってくるように」

その後、ようやく救世主様とご対面である。
感動である。
♪彼だけが貴女の伴侶、丈夫で長持ち致します。
♪てなこと言われてその気になって…いやいや違います。

「弁当、もちましょうか?」たまごどんが気を使ってくれる。
無用である。
たまごどんの手は、救世主様の手を取るために開けておくがヨイ

さて、遺伝研では特に楽しみにしていることが2つある。
1つ目は現役の研究者に自由に質問できることである。
あきさんが、若い研究者に質問している。

耳を傾けるが、アルファベット3文字の専門用語が続出しており、ちーとも判らない。唯一判ったのはATPだけである。
どうやら“大腸菌がクエン酸回路を回しているかどうか”ということを話しているらしいが、違うかも知れない。
とりあえず、あきさんに攻められている研修者が涙目になってることは判った。

楽しみ2つ目はトップクラスの研究者による講義である。
今回の講義は遺伝研副所長の五條堀教授による「遺伝子が語る脳のものがたり 〜最先端研究からみえる脳の起源〜」である。
最初の20分は遺伝研の歴史である。その後40分でダーウィンからDNA解析まで纏めたのはさすがであった。しかし五條堀教授の真髄はここから。
一般人からの質問コーナである。

中学の理科教師が質問する。
「最近我が校にも、アスペルガー症候群やADHDと思われる生徒が多いのですが…」
おいおい、その辺りで“我が校”の生徒が聞いてそうな処で、そんな話するか?
「これらは素質と経験が影響するとは思いますが、どうしたことかと思われますか?」
それは教師である貴方が生物学者にする質問か?

「それは大変重要なご質問です」と五條堀教授。
微妙に論点をずらし、最終的には「色々な人と様々な経験を積むことが大事なのではないでしょうか」と纏めた。その頃にはマイクを持った司会者は次の質問者の前に移動しており、それ以上の発言はさせない構えである。
さすがの対応である。

その後も“大災害時に死体の特定を行う方法”だとか、生物学では無い質問が相次ぐ。
それら全てに「それは素晴らしいご質問です」と紳士的な対応をする五條堀教授。
素晴らしいのは貴方です。

唯一、地下に眠るMさんが生物学的な質問をした。
「ヒドラ、プラナリア、ヒトと、同じ遺伝子が発現される神経細胞は、同じ機能・役割を持っているのでしょうか?」
「それは素晴らしいご質問です。ぶっちゃけ、判りません」
いや、こんなふうには言ってませんでした。もっと言葉を選んでました。

講義も終わり、展示も観終わり、そろそろ宿に向かう頃合である。
ところが、待ち合わせ場所にたまごどんが来ない。もちろん救世主様も居ない。
ひょっとしてこの面子の言動を見て「もう私ついていけない…」と修羅場ってるのではなかろうか?

ほどなくして、2人は現れた。
確かにtemaは言った。
「たまごどんの手は、救世主様の手を取るために開けておくがヨイ」
それは否定しない。
でも、そんなに見せ付けることないじゃないか…

というわけで、昼の部は終わり。
個人情報保護のため公開範囲を絞った夜の部へ続くのである。
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