2011年01月23日

セリアが研磨剤になる理由

たまごどんは日経エレクトロニクスという業界誌を購入している。この雑誌のみで、電機業界のトレンドがよく分かるという優れ物だ。昨日来た最新号の特集は「終わらないレアアース・ショック」というものだった。

知っている方も多いと思うが、レアアースは電子部品の特性向上に欠かせない元素だ。その輸出国は中国で、世界の97%が中国で産出されている。しかし、中国がレアアース輸出を制限してきたのだ。記事では、代替材料の可能性、脱中国化について、省量化、リサイクルについて色々なことが書かれていた。

その中で、研磨剤であるセリアについても書かれていた。セリアとは酸化セリウム(注:訂正しました)のことで、化学式はCeO2である。たまごどんはセリアが研磨剤に使われていることは知っていたが、その理由については知らなかった。

記事にはこうあった。
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ガラスの研磨にセリアが使われるのは、その砥粒の大きさや硬さが物理的にガラス磨くのにちょうど良いことに加えて、ガラス表面がセリアと反応して軟化することで全体の研磨効率が向上するためだ。物理的な方法と化学的な方法を組み合わせたこの研磨方法はCMP(chemical mechanical polishing)と呼ばれる。
これまで、セリアを研磨剤として使うと化学的研磨が起こっていることは経験的に知られていた。ところが、どのような機構で実現できているのかは不明な点も多かった。
(中略)
そこで、分かってきたのが、化学的研磨にはCeの3価の陽イオン(Ce3+)が大きく関与しているということだった。ただ、Ceは4価の陽イオン(Ce4+)になりやすい。研磨剤の含有物であるLaが砥粒の表面付近でCe3+になるように自然に調整していた。

(日経エレクトロニクスNo.1048,pp56-57)
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要するに、Ce3+が電子を酸素に供給して、珪酸ガラスのSi-O結合を弱くさせるということらしい。記事によると、この機構が解明できれば、レアアースの代替材料の候補も見つかりそうなんだという。やっぱり物事が上手くいく理由を明らかにすることは大事なんだなあ。メカニズムを明らかにすることで、本質的な対策を打つことが出来るのだから。レアアース・ショックの経験を糧に、日本の企業や研究機関が技術革新を実現するように期待したいです。


th302d at 00:47│Comments(4)TrackBack(0)科学雑記 

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この記事へのコメント

1. Posted by あぅ   2011年01月23日 01:04
セシウムじゃなくてセリウムですよね
2. Posted by たまごどん   2011年01月23日 08:11
(゚Д゚≡゚д゚)エッ!?

(つд⊂)ゴシゴシ

('д` ;)ムムゥ
3. Posted by mimon   2011年01月23日 21:25
セレン(セレニウム)と混同する人は、ときどき見かけますけど、・・・。
4. Posted by たまごどん   2011年01月23日 22:04
mimonピョン、「たまごどんが行く!」にようこそなのら。

間違いは、正直すまんかったm(_ _)m

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