西尾正道氏を知っているだろうか。北海道がんセンターの名誉院長という立派な肩書を持ち、低被曝の危険性を訴えている方である。実はたまごどん、いわゆる美味しんぼの鼻血描写問題で、たんぽぽさんのブログを舞台に議論している。そこで議論の相手から紹介されたのが、西尾先生の記事であり、ポスターだ。今日はこのポスターを検証したい。

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どこかの学会で使用したのだろうか、こうしたことに慣れていない方は十分に説得されそうなポスターである。とにかく順番に検証していこう。左上に引用した論文が記載されている。最初に見たとき、たまごどんはてっきり西尾先生の論文だと思っていたが、違っていた。その論文はこれ。著者らは気象庁の気象研究所の研究員であり、論文は査読付きのものだ。原文タイトルを日本語訳すると、「福島原発事故の初期段階における球状のセシウム含有粒子の放出」とでもなる。ではいよいよ、内容に入ろう。

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Within this filter sample, we counted approximately 100 spots caused by radioactive materials, suggesting a concentration of approximately 10 radioactive particles per m3. For reference, the average particle number concentration was 4.1 × 107 per m3 for particles larger than 0.5 μm from March 15 (Fig. S1).

フィルターのサンプルで、著者らは放射能物質に起因する約100のスポットを計測した。このことから、放射性物質は約10個/m3の濃度であると考えている。ちなみに、3/15からの0.5μm以上【たまごどん注:元文では"以下"と誤訳していました。指摘頂いた谷庵さんに感謝です。】の平均粒子数は4.1×10^7個/m3である。(たまごどん訳)
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ここだけでも分かる。西尾センセイは放射能物質が10個/m3という一番肝心な情報を記さずに、全ての粒子が4100万個/m3という情報のみを記しているのだ!Fig.S1は地震が発生した3/11からスタートしているので、粒子数が原発事故前後で増えていないことを示唆している。

ポスターに書かれた「Cs137+Cs134が6.5Bqだった」というのも非常に怪しい。対応する原文はこうなっている。
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The decay-corrected activity (as of March 2011) of Cs Particle 1 is 3.27 ± 0.04 and 3.31 ± 0.06 Bq for 137Cs and 134Cs, respectively (Fig. S5). Assuming a particle density of 2.0 g/cm3, the Cs mass percentage within the particle is estimated from its activity (Bq) to be 5.5. Another Cs-bearing particles (Cs particles 2 and 3) from the same filter but different spots are similar to Cs Particle 1, although they have weaker activity (Fig. S6). The particles consist of Fe, Zn, and Cs and are approximately 2.0μm in diameter. The radioactivity for Cs particle 2 is 0.66 ± 0.02 and 0.78 ± 0.04 Bq for 137Cs and 134Cs, respectively. The Cs mass percentage within Particle 2 is estimated from its activity to be 2.5. Assuming that the entire the radioactivity in the Plume 1 was from the Cs-bearing spherical particles gives an average of 1.4 Bq per particle, which is comparable to that of Particle 2.

Cs粒子1の放射能(2011年3月時点)は、137Csおよび134Csでそれぞれ3.27±0.04、3.31±0.06 Bqである(Fig.S5)。粒子密度を2.0 g/cm3と仮定すると、粒子におけるCsの重量パーセントは、その放射能から5.5と見積もられる。同じフィルターから得られた他のCs含有粒子(Cs粒子2および3)はCs粒子1と似ているがスポット数が異なり、これらは弱い放射能である(Fig.S6)。粒子は鉄、亜鉛およびセシウムで構成され、直径は約2μmである。Cs粒子2の放射能は137Csで0.66±0.02 Bq、134Csで0.78±0.04 Bqである。粒子2のセシウムの重量パーセントは、その放射能から2.5と見積もられる。プルーム1(放射性雲)の放射能がCs含有球状粒子からのものだと仮定すると、粒子当たり平均1.4 Bqが得られ、これは粒子2も同じと見られる。(たまごどん訳)
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著者らは出来るだけ正確に放射能を見積もるために、最大限の努力をしていることが分かる。その結果が粒子1個あたり1.4 Bqなのだ。この値と先ほどの10個/m3という情報から14 Bq/m3と計算することができ、この値はFig.1の3/14 21:10から3/15 9:10までの測定値、3/20 21:30から3/21 9:13までの測定値とほぼ一致している。

ここまでの話を整理しよう。著者らは出来るだけ正確に放射能を見積もろうと最大限の努力をしている。一方の西尾センセイは、少しでも放射線被害が大きく見せるために、最大限の努力をしているのだ。ポスターに戻ると、「0.5μm以上の粒子」とは非放射性物質も含めた粒子のこと、「Cs137+Cs134が6.5Bqであった」というのは、粒子当たりのBqを出すまでの途中の情報だ。西尾センセイが足し合わせた数字にした理由は、出来るだけ大きい値にしたかったんでしょうな。
この書き方では混乱するって?賢明な西尾センセイは言うだろう。それは読み取り側に問題があるんじゃない?

ポスターのグラフも写真も全てこの論文からの転用である。なぜ?理由は簡単で、これが研究者のためのポスターではないからだ。さも一生懸命調査しましたよと、反原発運動家にアピールするためだけのポスター。本当なら牧野東工大教授の計算式というのが、どのような仮定で試算されたのかが知りたいのだが、その結果だけが書かれているだけだ。ちなみに東工大の牧野先生は実在しているが、専門は銀河や惑星の形成に関する研究をされている方のようで、場違い感はかなり強い。

「空気中の粒子状ダストによって鼻血が増加するという報告」で引用されたBray.D氏の論文を見てみよう。環境汚染物質と、鼻血を訴えて病院に来られた患者さんとの関係について、5年間調査した論文だ。

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Factors measured were atmospheric ozone (O(3)), carbon monoxide (CO), sulphur dioxide (SO(2)), nitrogen dioxide (NO(2)) and particulate matter less than 10 mum in diameter (PM(10)).

測定した因子は、大気中のオゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素および直径10μm以下の粒子状物質です。(たまごどん訳)
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放射性物質のことは調査自体行われていない!そしてもちろん、賢明な西尾センセイだって書いていない。
そんなことを私が書くと思っているのかね?ポスターを見ると、粒子状ダストが放射性物質だと勘違いするだって?そんなことは私の知ったことじゃないよ。

結局、西尾センセイのオリジナルである面積効果の詳細、牧野先生による試算の詳細については全く分からない。もういいだろう。西尾センセイは、福島が死の町になることを願い、福島の放射線被害を高める情報があれば何でも採用し、捏造する輩なのだ。そもそも4.8 Svって何よ。東海村臨界事故の犠牲者の一人である篠原さんは約10 Svを被曝したとされている。それに匹敵するような危険な地域が、現在の福島住民の居住地域に存在するってことになるぞ。約半数が死亡するとされているこの数値を見て、反原発の運動家は何も感じなかったのだろうか。それとも福島に住めると認めてしまったら、原発計画に歯止めが利かなくなると彼らは考えて、西尾センセイが嘘付きと知ってても乗っかっている?そんな下種野郎しか反原発運動家に居ないのだったら、たまごどんは原発推進でいいですわ。


※「たまごどんが行く!」読者の皆さんへ
このブログの拡散を希望します。西尾センセイについての正確な情報発信は、今の日本に必要だと考えています。