2016年10月31日

貧困女子のリアルを読んだ

貧困女子のリアル(沢木文、小学館新書)を読んだ。いわゆるアラフォーの女性たちが貧困に蝕まれている様を取材した11のルポである。

彼女たちが貧困に喘ぐようになる理由は色々だ。ギャンブルとDVの父親だったり、旦那の連帯保証人になったりという比較的分かりやすい貧困の理由がある一方で、見栄からくる浪費だったり、得体のしれない資格やセミナーのための投資だったりと理由がよく分からなかった貧困の理由もあった。後者に対する著者の回答を引用しておこう。

>貧困状態にある女性と話していて感じるのは、美容にせよ、資格にせよ、”今の自分を変える”ことに、計画もなく投資する傾向があることがよくわかっているからだ。(p129)
>ほかに取材した女性たちも、(中略)”ここではないどこかに連れてってくれそうな何か””自分をリセットしてくれそうな何か”に、中身がほとんど入っていない財布をバンバン開けてしまうのだ。(p130)

読んでいると、もう少しなんとかならなかったのかと思う。後知恵でこうするべきだったということは言えそうだが、そんなことはアドバイスにならず、そもそも本人たちが一番感じていることだ。たまごどんだって兄弟については色々とあるし、もっと何とかフォローできなかっただろうかと夢想することもある。

彼女たちは、自分の人生をリセットするなにかに賭けている。その最たるものが、人生で一回きりの切り札である結婚だ。しかしその切り札を切れないまま、自分の容姿が徐々に劣化していくというのが現実のようだ。

SNSでハイソな生活をPRするために借金する女性も書かれている。この本に救いは書かれていない。現代日本の病理をまずは知ることだ。
たまごどんとしては、高校生くらいのときにこうした本を読むべきだと思う。自分の親を相対的に見る癖をつけることは、思春期における最重要課題のように思える。
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th302d at 01:46│Comments(0)TrackBack(0)読書 

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