2020年05月22日

藤井聡氏のグラフを読み解く

社会工学者という肩書の藤井聡氏が、ツイッターで8割自粛や緊急事態宣言が無駄で無効だったと主張していた。今日はこれについて検証したい。

感染が増えた大きな理由は3月20日から23日の三連休にある。いい天気だったし、桜も咲いていた。新型コロナによる自粛続きで嫌になった人々が、一斉に外出したのだ。たまごどん一家もラ・コリーナに家族と出掛けたのを記憶している。

この三連休から爆発的に感染者数が増えた。その結果が感染者数グラフにおける3/27のピークだ。当時はどこまでも右肩上がりの感染爆発に見えた。西浦氏は人との接触の8割削減をTVで訴え、政府は4/7に緊急事態宣言を出した。

藤井氏の説のどこがおかしいか分かるだろうか。漢字ミス以外の彼の間違いは、実効再生産数が可変因子ではなく不変因子と考えている点だ。実効再生産数は感染者が他人と接触する機会、言い換えるとウィルスが人から人へ感染できる環境か否かで大きく変わる。ダイヤモンドプリンセス号で712人の感染者を生んだ感染爆発は、たった一人の新型コロナウィルス患者によって引き起こされているのだ。政府は新型コロナ対策のために、マスク着用と手洗いを推奨し、人との接触の8割削減について啓蒙した。さらに緊急事態宣言を出して、県境を超える移動に歯止めをかけ、販売・接客の自粛を自営業者に要請した。その結果がグラフの実効再生産数である。だから、実効再生産数が少ないから接触の8割削減提言や緊急事態宣言が不要だったという藤井氏の結論は導けないのだ。このグラフは、接触の8割削減提言、緊急事態宣言とそれによる営業自粛によって実効再生産数が抑えられ、その結果として3/27が感染者数のピークですんだと読み取るべきグラフなのだ。

科学的リテラシーというものは大事なものです。これを身につけているということは、正しい意見と眉唾な意見を見分ける方法を持っているということなので。

藤井聡氏の事後検証結果










追記
藤井氏のグラフの横軸は推定感染日でした。横軸を感染が判明した日としたグラフ(ようするに当時の情報そのもの)を貼っておきます。緊急事態宣言を出したタイミングも妥当な時期だと思います。
EYindimUcAIBNIE


th302d at 20:26│Comments(0)新型コロナ | 科学雑記

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